Production Notes
トム・ハンクス自身の“キャンパス・ライフ”から生まれたストーリー
 『幸せの教室』のストーリーは、トム・ハンクスが何年もの歳月をかけて作りあげたものだ。ハンクスは高校卒業後、短期大学へ進んだが、そこでの体験に衝撃を受けたと語る。「70年代半ばの高度成長期で、人々には上昇志向があった。クラスには初老の人や50代の人、ベトナム帰りの人もいた。クラスのほぼ全員と友達になって、彼らのなかでとても豊かな人生経験を手にした。その経験をもとに、ラリー・クラウンという人物を作り出したんだ。学歴のせいで仕事をクビになったラリーはどうするのか? 私が高校を出た時の状況とかなり似ているんだが、ありがたいことに短期大学というものがある。そこでは、キャンパスへ行くってこと以外、何もしなくてもいいんだ。」
 ハンクスは『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』で仕事をした脚本家のニア・ヴァルダロスと組み、アイデアを膨らませていった。「私はニアの専門知識を借りようと思った。本作には本当に実在すると思える登場人物が必要だったからね。彼女が書き直した脚本に私が手を加えるというやり方をしたんだが、最後まで何度もやり取りをしたよ」とハンクスは語る。
 脚本を執筆している最中に、アメリカの社会状況は変わった。金融危機が起こり、何百万もの人々が財政困難に陥り、不安な将来を押しつけられた。ハンクスは、そんな現実を脚本に組み入れた。ヴァルダロスは語る。「このストーリーのとてもリアルなところが好きよ。“こんなに必死で働いているけど、私は認められているんだろうか、この国の役に立っているのだろうか”と感じている、ごく普通の男女の話だから。私たちはみんな取り替えがきく歯車でしかないというのは、厳しい現実ね。仕事をクビになっても、なんとか立ちあがって先へ進むしかないわ。」
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