第一次世界大戦、激動のヨーロッパ──故郷から遠く離れた戦火を、必死に駆け抜いた一頭の馬がいた。
その名は、“ジョーイ”。
数奇な運命に導かれるように彼が巡りあったのは、家族のような絆で結ばれた少年、軍馬を誰よりも大切にするイギリス人将校、ドイツ軍を脱走した幼い少年兵の兄弟、両親を亡くしたフランスの少女、そして、死と隣り合わせの戦場ですれ違う、数多の名もなき兵士たち…。
敵・味方の区別もない極限状態の中で、過酷な運命に立ち向かう人々との出会いと別れを繰り返しながら、ジョーイは彼らから希望を託され、やがて《奇跡の馬》と呼ばれる──。