マクナマラ監督は当初から、この物語にはベサニーを支えた家族や友人の存在が不可欠だと考えていたが、デニス・クエイドが娘に心を砕く父トム・ハミルトン役を受けたことを知り、興奮を覚えた。「実際にはベサニーの数人のコーチと、そのコーチの一人でもあった父親を合わせる形でトムというキャラクターを作り上げたんだ」とマクナマラ。「実生活でも父親のデニスは、この役のオファーを受けるやいなや、ハワイにいた私に電話してきて『何が起ころうともこの映画には出る』と言ってくれたんだよ」。デニス・クエイドはトムの心情に強い親近感を持ったという。「トムはとても正直で努力家で、自分や家族に対して真実を貫いている。僕は『ソウル・サーファー』がベサニーの栄光のストーリーであると同時に、家族が苦境を乗り越えるストーリーであることに強く惹かれたんだ」。そして、デニス・クエイドの力強い存在感とぴったりと噛み合ったのが、母シェリー・ハミルトンを演じるヘレン・ハントの深みのある繊細さだ。「娘のベサニーには、どんなに暗闇に包まれた時期でも、何が真実なのかを自分自身で見いだしてほしいとシェリーは思っているの」と彼女は言う。「私が共鳴したのは、それこそまさに私が自分の娘に対して思っていることだからよ」