プロデューサーのダグラス・シュワルツが映画化についてベサニーにアプローチしたのは、事故から約半年後のことだった。「私は32年間、脚本家、プロデューサーとして数々の作品に携わってきたが、ベサニーの話ほどインスパイアされるものに出会ったことがない」とシュワルツは言う。ベサニーははじめのうち迷っていたものの、映画化されることで世界中の大変な状況にいるティーンエイジャーやその家族に希望を与えられることに魅力を感じるようになった。「自分のことが映画になるなんて考えてもいなかったけれど、この映画に励まされて、自分がどんな苦境にいようとも人生を最大限に生きようと思ってもらえたらうれしいわ」
すぐに出演が決まった面々には、ヘレン・ハントやデニス・クエイドら素晴らしい実績を持つ俳優と、この作品で映画デビューを飾るカントリーソング界のスター歌手、キャリー・アンダーウッドやジャック・ニコルソンの娘のロレイン・ニコルソンら新進俳優がいる。しかし、キャスティングのカギは、ベサニーの人間性を自然に演じられる若手女優を見つけ出すことにあった。そこで白羽の矢が立てられたのが、10代のアナソフィア・ロブだ。「信じられないような話だったから、『本当に起こったことなの?』と思ってた。でも数日後に監督と会ったときに、『全部本当だよ』と言われて。しかもベサニー本人が私にこの役をやってほしいと言ってると聞いて、『ワオ』って思ったの」。ベサニーはアナソフィアが自分より15センチ以上身長が低いことに驚いたが、彼女の演技を見るやいなや、自分のエッセンスを彼女がつかんでいるのがわかったという。アナソフィアは役に正式に決まった段階で1日4時間、サーフィンや水泳、ウェイトトレーニング、ストレッチなどの徹底的なトレーニングを開始し、ハワイではベサニー本人にサーフィンを教わった。「アナソフィアは本当に飲み込みが早かった」とベサニー。「サーフィンを習得するのに普通は何年もかかるのに、彼女には1か月ちょっとしか時間がなかったのよ。それなのに本当によくやったわ」